理事長インタビュー①

110th Anniversary

理事長に聞く!【第1弾】

理事長 高橋 暢雄

1912年(明治45年)に創立され、今年(2022年)で創立110周年を武蔵野学院は迎えました。大きな変化が予測されるこれからの10年間を念頭に「武蔵野のあり方」について、高橋暢雄理事長・学長にお話しをうかがいました。

ーー武蔵野は創立110周年を迎えましたが、今年は新型コロナの問題もあり、大きな式典は行いませんでしたね。

高橋:過去は10年毎の節目には大きな式典を行ったり、学校で記念の書籍や記念誌を発行したりしていましたが、今年は6月25日の創立記念日に新型コロナへの予防に配慮した小規模の式典を中高で行うのみとさせていただきました。

ーー武蔵野は現在の理事長先生の体制になられてからの直近20年間に大学・大学院修士課程・大学院博士課程・保育園が設立され、発展をしていますが、これからの10年間はどの様になると考えていますか。

高橋:教育とは成果がすぐに出るものではありませんので、時代の要請に応えて学校としての体制を整え、時代の変化に合わせていくことが常に大切であると考えています。明治の終わりに創立された武蔵野は、110年間の時代の変化に合わせた教育を都度考えながら進んで行ったことで、現在があると考えていますので、これからも時代の変化に寄り添い、学生・生徒・園児の皆さんと進んでいくことになると思います。

ーーこれから10年間の時代変化はどの様になるのでしょうか。

高橋:難しい質問ですね。少なくとも、明治以降に経験した直線的な変化や進化とは異なる形になると考えています。経済がグローバル化しているところに新型コロナや各国での緊張関係が起きて、これまでの様な大きなプロジェクトとか大きな会社が永続的に進化することが難しくなっていまいました。これからは小さな規模でも変化に強く、確実な歩みを続けることが個人にも組織にも求められるのだと感じています。

ーーその時代を武蔵野はどの様に行動するべきなのでしょうか。

高橋:原点を常に忘れないことだと思います。原点を常に意識していれば、変化を感じた時も立ち帰ることが出来ます。武蔵野の原点はやはり「学生・生徒・園児の皆さんと人としてお付き合いすること」だと感じています。ともすると、最近は表面だけ機械的に管理する傾向が教育の世界にも見られると思います。うまく行っている時にはそれで問題はありませんが、変化や問題があった時にはそれはもろくなりますので、常に原点として教職員がみんなの面倒を見るという立場である前提で接することを忘れない。それが大切になると感じています。
学ぶ立場の側の皆さんにも、考えるべきことがあると思います。学校で学ぶことには知識を得て、自分に定着させるという大きなテーマはありますが、知識を得ることだけでは、変化に対してそれを応用する力が落ちる場合があるからです。知識だけなら中世ヨーロッパの様に家庭教師から学べばよいということになります。周囲のみんながいて、同じ場で活動することで得るものは、嫌なことがあるデメリットよりも、周囲の動きを見ながら経験を積み重ねるという効果が大きいと思いますので、まずは「みんなとやるから高いところに行ける」という原点を忘れないことだと思います。

ーー親御さんはどの様に考えるとよいのでしょうか。

高橋:これはお子さんの年齢やタイプにもよりますが、早い時期に自分が好きもしくは得意な分野を少しでも多く確立することですね。いずれそれが最終的な原点になると思います。例として、アメリカなどでは様々なスポーツに早い時期にチャレンジしてもらい、本人や周囲の大人が一番無理なく自然に取り組めそうな競技を見極めたり、性格や勉強の様な日頃からのことでも、「スパイキー」というその人の中で突出した部分を見極めたりします。
これは子供の内から気分良く行動してもらうというねらいもあると思いますが、むしろその人の特質を周囲の大人が把握してあげるという効果が大きいと思います。中には親御さんがこういう子だとかこうあって欲しいとか理解という意味合いが少しずれている場合もあるのですが、そこを意識的にやっていただくことが、これからの時代には重要になることだと思います。

著書『今まで生きづらかった人こそ「これから」うまくいく』(青春出版社,2022年,1500円+税)

ーー110周年を記念して、本を出版されましたが、それも今のこととは関連しているのですか。

高橋:全くその通りです。これからの時代変化はこれまでのパターンとは違うということを踏まえて、多くの方々に心のイメージを変えてもらいたいと考えて出版させていただきました。

ーー新しい本の概要を教えてください。

高橋:時代変化のイメージがわかりやすい様に西洋占星術での「地の時代」から「風の時代」に変わるという考え方をモチーフにさせていただきました。これまでは「地の時代」というイメージから平地で皆が何でもかんでも競争をして、他人を出し抜いてでも上へ行くというイメージが強かったと思います。しかし、それは変化が延長線上にある場合のみ有効です。
しかし、「風の時代」となるとそうはいきません。江戸時代から明治維新、今大河ドラマでやっている貴族の平安時代から武家の鎌倉時代の様に、大きな価値観が変わる変化である可能性が感じられると思います。

ーー「風の時代」には何が必要なのでしょうか。

高橋:色々ありますが、簡単に申し上げると、変化を予測するよりも、変化が来ても大丈夫な体制や心構えを作り上げるということだと思います。その為に、「マインドセット」と呼ばれる心の置き所をポイントにして、楽しいマインドセットを沢山ご紹介してみました。

ーー専門的な本ではないのですね。

高橋:その通りです。110周年の記念と考えて書かせていただきましたので、多くの方々が「へぇー」と思ったり、「クスッと」笑ってしまうような楽しくて、専門知識を必要としない本にさせていただきました。

ーー武蔵野のこれからを知る意味でも読んでいただきたいということですね。

高橋:あはは、そう言っていただけると嬉しいです。武蔵野は皆さまのおかげさまで110周年を迎えることが出来ましたが、これからの時代の変化にも考えながら対応し、次の111年目に向けて皆さまと前進したいと考えています。変わらぬ皆さまの応援やご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

ーーありがとうございました。また先生にインタビューをお願いしたいと考えています。

高橋:こちらこそありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。